2022.2.16 | スギモトリョウスケ

はじめてのゲームアプリ制作。『God’s Hand』を振り返って-その1-

リンクをコピーしました

初めまして、スギモトリョウスケといいます。

このGOOSY NOTESでは、僕たちのゲームの紹介や、開発日記、日々考えていることなどを発信していく予定です。
今回は最初のエントリということもあって、いままでの活動を前半と後半の2回に分けて簡単に振り返ってみようと思います。
もし興味を持って読んでもらえれば大変うれしいです!

初めてのゲーム制作 – 『God’s Hand』

昨年、友人のアーティスト、オオクボリュウ(ドラゴン)とCREATOR GOOSY(GOOSY)というインディーゲームスタジオを立ち上げ、初の作品となる『God’s Hand』をリリースしました。

改めて、協力や応援をしてくれた方々 ありがとうございました!

さて、このゲームアプリ『God’s Hand』はとてもシンプルなカジュアルゲームなのですが、制作を開始してからリリースまで約2年ほどの時間がかかりました。
それもそのはずで、僕らGOOSYの2人はゲーム制作に関しては全くの門外漢。
プログラミングもUnityも触ったことのないような素人チームだったのです。

『God’s Hand』は、そんな2人が遊びの延長線上で、「なんかゲーム作りたいよね、やろうよ」という、ゆるいノリで作り始めました。

ゲームらしくないゲーム

『God’s Hand』を実際にプレイしてくれた人たちからは、多様な感想をいただきました。
面白いとかつまらない以前に、「ゲームじゃない」「映画(もしくは絵本)みたい」「どっちでもない」「いやどっちでもある」など…。
これらは全部、とてもうれしい感想です。「ゲームらしくないゲーム」を作ることが”God’s Hand”の制作におけるテーマの一つだったからです。

さて僕たちは、実際に制作を始める前に、どんなゲームを作りたいのか、どんな活動にしたいのかについて長い時間をかけて話し合いました。
お互いにオススメのゲームを教え合ったり、ゲームに関する文献を読んだり、ソーシキ博士氏のプレイ動画を見たり、とにかく会うたびにゲームの話…。
この時に参考にしたものが『God’s Hand』を作る際の基礎になっています。

これらをすべて挙げだしたらキリがないので、中でも特にGOOSYが影響を受けたと思うものを3つ紹介します。(ドラゴンと僕では挙げるものが違うかもしれませんが)

  • Florence(ゲームソフト)
  • ゲンロン8(批評誌)
  • Sokpop Collective(インディーデベロッパー)

まず一つ目のFlorenceは、かわいらしい女性の主人公の、恋愛と人間的な成長の様子を題材としたゲームソフトです。プレイしたときにまず感じたのは「これってゲームなの?」でした。
それまで思ってたゲームのイメージとは似ても似つかないような、不思議な感触があったのを覚えています。

Florenceのプレイ画面 / パブリッシャーのAnnapurna Interactiveのサイトより引用

その理由を簡単に考察すれば、難易度が全くないと言えるようなシンプルなミニゲームで構成されてること。また、そのミニゲームで要求される操作それ自体とキャラクターの心情が巧みに結びついていること。そして、それらの操作がタッチパネルによってなされること、など理由はいくつも挙げられると思います。(ちなみに現在ではSwitch版などタッチパネル以外のデバイスでもプレイできるようです)

とにかく、それは僕にとっては、ゲームというよりは仕掛け絵本のようなものに見えたのです。

二つ目のゲンロン8は刊行当時、批評誌が「ゲームの時代」という特集を組むということで大変話題になっていた記憶があります。

ゲンロン8の表紙 / 画像はゲンロン8の特設ページより引用

そうそうたる面々が参加していて、個別のゲームソフトの分析ではなく、様々な角度からゲームとはなにかとうことを考えるといった内容で大変面白い。
本当にこの本からは様々な知見を得ることができました。

ただ、僕が特に影響を受けたのはこの本の刊行記念として行われたトークショーでした。(一部無料で動画が見れるので貼っておきます)

この動画で展開される「触視的平面(能動的かつ受動的な存在)」と「ノットゲーム(ゲームであることを否定するゲーム)」の議論には心を惹かれました。
詳細は今回は割愛しますが(興味のある方は是非動画を見てください。また、触視的平面に関してはゲンロンαの有料記事に詳しい記事があります)、『God’s Hand』をスマートフォンアプリで出すことや、単調なゲームシステムにしたことなどは、この本と動画に方向づけられました

最後に挙げたSokpop Collectiveはインディーデベロッパーの集団です。
彼らの特徴は「2週間に1本ゲームを発表する」というすさまじい開発スピードにあると言えます。また、ナンセンスな作風のゲームが多いことも印象的です。

Sokpop Collectiveのゲームソフト『moeras』 / https://sokpop.itch.ioより引用

Sokpop CollectiveのWEBサイトを見ると、それぞれのゲームソフトの面白さ以上に、それらをまとまりとして見せることでナンセンスに説得力がついていることに驚きます。
これは開発スピードに裏打ちされた魅力なので、現在のGOOSYでは簡単には真似できませんが、彼らの醸し出す空気のようなものは、自分たちの活動にも必要だなと直観的に感じました。

僕たちはこういったものを参考にして「ゲームとは何かを考えさせるゲーム」、そこからまた少し詰めて「ゲームらしくないゲーム」を作ることに挑戦しようということになりました。

そして「ゲームらしくないゲーム」をつくるということは、思っていたよりも大変なことでした…。
次回の記事ではそのあたりを振り返ろうと思いますので楽しみにしてもらえれば嬉しいです。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

最後に、この記事に登場した資料などのリンクを張って今回は終わります。ではでは〜

リンクをコピーしました
HOME